論理と直感とiBooks Author

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論理と直感といえばよく語られる二項対立。あらゆる場面で登場するが、ここでは文書フォーマットとレイアウトの議論をしたい。

テクニカルな文脈で言えば、あらゆる文書は論理的な構造を持つべきだ。だって、そうすればコンピュータにとって嬉しいもん。文書を書くときに、まずタイトルがあるでしょ、次にチャプターがあって、チャプターにはチャプタータイトルがあって、それぞれのチャプターはセクションが含まれていて、セクションにはセクションタイトルがあって、そして本文があって、、、と、木構造的な論理構造を積み上げていく。こうすると、文書のアウトライン表示ができたり、目次を簡単に作れたり、検索のターゲットが明確だったり、といいことだらけだ。コンピュータにとって。

さて、じゃこの文書を表示しようか、となると直感的なレイアウトの出番となる。題字をここに配置して、柱があって、4段組みにして、ここは強調したいから図を乗っけて、、、と読みやすく要素を配置していく。人間にとって。そのうち、論理構成が破綻していく。あーっ、その構造を崩すな!と論理が言えば、だってこっちの方が読みやすいじゃん、と直感が言う。対立が起きる。

論理と直感のせめぎ合いでグダグタになっている良い例は、現在のWebだ。HTMLという論理構造を記述するためのフォーマットが、複雑なレイアウトを実現するために極限までトリッキーに扱われている。セマンティックのかけらも持ち合わせていない断片の情報の集合、それが現在のWebだ。

で、iBooks Author。iBooks Authorの魅力は、直感的なレイアウトによる使いやすさだ。ドラッグアンドドロップで図やグラフを貼付けて、誰でも簡単に使える。そして、表現力はすさまじい。普通この手の機能を入れると、論理構造はぐちゃぐちゃうになっちゃう。このデモを見たときは、あーあ教科書なのに論理構造はまったくスポイルされちゃうのかよ、と思ってた。

実際に触ってみると、論理構造は生かされていることが分かった。大きな構造は、ブック>チャプター>セクションだ。さらに、セクションの内部では、段落スタイルを指定することで、サブの構造を付け加えることができる。図やグラフは、自由に配置できるが、実は段落にひも付けられている。ある段落に含まれている図、という体裁を取っているのだ。

そして、iBooks Authorでの読みやすいレイアウトは、iPadを縦にすることで一変する。縦画面にすると、図やグラフは左端にサムネイル表示され、本文と区別されるのだ。つまり、横画面は直感的なレイアウトモード、縦画面は論理的な俯瞰モードということだ。こういう共存があるとは思わなかった。やられた。

「論理と直感の狭間(Between Logic and Intution)」。そこに感情を揺さぶる本質がある。この電子教科書を使う学生には、そこに気がついて欲しいと思う。

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