4月 | 2014 | HMDT Blog

カテゴリー : 2014年 4月

『大辞泉』2.1リリース間近。新語2,900語追加。「笑っていいとも」レギュラー陣の作品も


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大辞泉』2.0が出たばかりですが、近日中に2.1がリリースされます。

2.1は、恒例の新語追加になります。2014年4月期では、最新の時事用語など2,900語を追加。これで総項目数27万200語。大辞泉プラスは3,500語を追加して、6万7,500語になります。合わせると、33万7,700語!どこまで増えていくんでしょう。

さらに『大辞泉』は、画像や地図情報など、内容を補填する情報が多いことも特徴です。画像は1万2,190枚。地図情報は1万3,200件。関連リンク(URL)は5,000個。季語表示は5,000件。漢字項目は3,500件。類語は3万4,280語。類語辞典としても充分使えますよ。

また、先日放送を終了した「笑っていいとも!」で、小学館大辞泉編集部の板倉さんが「国語辞典をアップデート 目指せ!言葉の達人」に出演していました。そのときにレギュラー陣が作成した作品も、今回のアップデートに含まれます。

隠れた才能を発揮した木下優樹菜さんは、「大人」の作品が大辞泉本体に。最終回で放送されたレギュラー7人の作品は大辞泉プラスに、それぞれ収録されます。

審査が通り次第の公開となりますので、しばしお待ちを。

『大辞泉』2.0リリース。無料モデルの終息とその総括


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iOSアプリ『大辞泉』ですが、バージョン2.0をリリースしました。そして、とても大切なお知らせがあります。『大辞泉』は2.0から有料アプリになります。

『大辞泉』は、バージョン1では無料アプリとして配信し、ソーシャルゲーム的な利用回数を設定しました。これは好評を得たのですが、その成果を収益に結びつけることができず、このままの状態では事業の継続が困難となりました。ライセンサーからも現状を憂慮した強い働きかけがありましたので、無料での配信は終息し、有料アプリとして再出発することとなりました。

いままで無料で使っていた方は、利用可能回数がなくなり次第、検索結果の表示ができなくなります。引き続き利用する場合は、「利用可能回数制限の解除」ライセンスを購入してください。詳しくは、こちらのFAQをご覧ください。

有料化となりましたが、まだまだ開発は続きますので、引き続き『大辞泉』をよろしくお願いします。

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ということで、『大辞泉』の無料化は終わったのですが、そもそも無料でリリースしようとした背景には、強い危機感がありました。どういうことかというと、スマートフォンのアプリ市場は広がっているものの、売れているのはソーシャルゲームばかり。有料アプリのダウンロード数はどんどん下がっている。ユーティリティアプリの開発をメインとする弊社は、このままではジリ貧ではないか。この状況を打開するには、無料で配布して後で課金する、いわゆるフリーミアムモデルを、辞書のようなユーティリティアプリでも導入するべきではないか。

思い描いていた戦略は、こうでした。まず、アプリを無料化してユーザ数を確保する。そして、ソーシャル的なつながりを演出することで、アプリの稼働時間を長くする。これにより、ヘビーユーザが課金してくれる。

「ソーシャル的なつながり」として、他のユーザが検索した言葉を表示する「コトバストリーム」であるとか、小学館の編集部が行った「あなたの言葉を辞書に載せよう。」キャンペーンであるとか、自分の考えた言葉を投稿できるようにした、「みんなのコトバ」機能とかを実装しました。

その結果は、どうだったのか?結論を言えば失敗だったのですが、ここで総括したいと思います。具体的な数字も出していきます。

まず、最初の目標であるユーザ数の確保。これはどうだったのか?『大辞泉』は、2013年の5月17日に公開して、2014年の4月7日まで無料でした。11ヶ月弱というところです。この間のダウンロード数は、151,186。15万を超えたところでした。

この数が大きいのか?辞書アプリとしては、充分に大きいと考えています。長らく辞書アプリに携わってきましたが、『大辞泉』のようなフルサイズの辞書が一年かからずに十数万ダウンロードされるというのは、トップレベルだと思います。やはり辞書の需要は強いのだと感じました。もともと2,000円で販売されていた物が無償になった、というインパクトもあったでしょう。

もちろん、無料アプリにさえしてしまえば、ある程度のダウンロード数があるのは想定できました。重要なのは稼働時間です。結構多いのが、無料だからダウンロードしたけど、その後も一回も使われずに削除される、っていうパターンです。どのくらいのユーザが使い続けてくれているのか、というのが気になるところです。

これは統計を取れるようにしています。コトバストリームを実装したときからです。コトバストリームを有効にしていると、サーバに検索した語句を登録します。これを使って、大体の稼働率を推測することができます。コトバストリームの稼働を始めたのが去年の11月からなので、4ヶ月程度での統計となります。

まず、総検索語句数。これが、約400,000。一日平均にならすと約3,000。30秒に一回、誰かがアプリを使って検索してくれている、という計算です。確かにコトバストリームを確認すると、一分とたたずに誰かが新しい語句を検索していますからね。

次にユーザ数。4ヶ月間で実際にアプリを使って検索をしたユニークユーザ数は、約41,000。総ダウンロード数の27%になります。1/4強のユーザが、ちゃんと使ってくれていました。一日平均を求めると1,250。直近7日間のユニークユーザ数は5,000。

これらの数を少ないと見るか、多いと見るか。辞書アプリとして考えれば、充分に多い。有料のユーティリティアプリならば、この程度の数は充分に多いと考えていい。でも、無料サービスとして考えるならば、多くはないですね。

そして、最後に最も重要な課金率。製品の購入と同等となる「利用回数の制限を解除」を、どれだけのユーザが購入してくれたか。その課金率は、ズバリ0.5%。1%いきませんでした。正直にいって、これはかなり低い。採算とれるかどうかのラインは5%程度なので、まったく届いていない。

ここまで低いと、宣伝がうまいくいかなかったとか、製品のできがどうとかの前に、戦略が間違っていたとしか言いようがないです。ここで言い切ってしまいますが、辞書アプリでのフリーミアムモデルは、戦略的に間違いでした。少なくとも、「利用回数の制限を解除」をユーザに購入してもらうビジネスモデルでは成り立ちません。じゃあ、広告を入れるようなモデルでは?と考えても、いまのユーザ数では広告は無理ですね。というか広告モデルにするなら、Webサービスにした方がいい。

結論としては、ユーザ数が増えて、稼働率もそこそこ上がったけど、課金にはまったく結びつかない、ということでした。このまま無料を続けても課金率が上がる見通しはなく、赤字がふくれあがる一方なので、終息させざるをえません。

リリース前にいろいろとシナリオを予想していたましたが、悪い方で決着しました。ただ、挑戦したこと自体は、間違っていたとは思っていません。この結果をもとに、修正をしていきます。

今後は、有料アプリとしての開発となります。従って、方針も変わることになります。バージョン1までは、ユーザ数を増やすためにソーシャル的なつながりを掲げていました。バージョン2からは、そちらは縮小します。ここからは、語句をいかに素早く効率よく検索できるかという、辞書としての検索機能の向上を目指します。辞書の検索は、まだまだ改良の余地があるんです。まずは、近々新語の追加がありますので、そのときにも強化を含めていきます。

結局、有料アプリの販売数が下がっている、という問題は解決していません。でもフリーミアムもその解決策にはならないということは分かりました。少なくとも、辞書では。また新たな策を探しにいきます。