カテゴリー : 2012年 12月11日

電子書籍でページめくりが最も高速な訳


電子書籍、特に現状の電子書籍に対して批判的な文脈では、ページめくりアニメーションが何かと槍玉に上げられる。いわく、意味なく紙の模倣をしている、無駄に遅い、スクロールの方が電子的だ、など。最近だと、Dailyの廃刊にあわせて取り上げられたりとかね。

ページめくりvsスクロールは、2つの対立軸がある。1つめは、ページネーションを行うか否かだ。紙の本は、その昔にあった巻物ではページネーションの概念はなかったものの、ページという矩形領域に文字を収め、それを重ねる事で長文を表した。電子であれば、スクロールを使う事でページネーションは必要なくなる。Webページがそうだよね。

テキストをスクロールのみで読ませる事が適切か否かは、個人的な経験でいえば、その長さに依存すると思う。ニュースとかブログ記事みたいな、スクリーン1画面から3画面程度ならば、スクロールでいいでしょう。でも、夏目漱石の「こころ」のような長文テキストをスクロールだけで読ませるのは、やっぱり厳しい。これは、一画面に表示される文字数も関係すると思う。一度に目にする文字数が多すぎると、やはり疲れる。

ページネーションするということは、ページサイズという制限が生まれる事につながるので、レイアウトが発展する事になる。たとえば、雑誌だ。特に日本の。1ページという限られた領域に、情報を可読性と美しさに配慮しながらレイアウトする。その上で、ボリュームも突っ込む。これはページネーションという必然から生じた価値で、捨てるのはもったいない。あと、マンガみたいにページがあることが大前提になっている読み物もある。

で、ページネーションされた書籍をどうやって電子で読ませるかという事でも、スクロールとページめくりの対立がある。この場合、スクロールはページ区切りのスクロールってことになる。このとき、ページめくりに対しては、遅いとかアナクロニズムとかいう批判が寄せられる。でも、そんなことはない。実は、ページめくりというユーザインタフェースには、圧倒的な利点があるのだ、というのが今日の本題。

利点というのは、スピードだ。ページめくりというインタフェースは、その仕組み上、スクロールと比較して高速にページ間を移動する事ができる。うん?アニメーションが速いってこと?いや、そうじゃない。連続してめくりをするときに、前のページのめくりが完了する前に、次のページめくりを行うんだ。ちょうど、紙の本をパラパラとめくる感じだ。手前味噌で申し訳ないけど、HMDT BOOKSでめくるとこんな感じになる。

これができると、ページの移動が高速で直感的になる。たとえば5ページ進みたいな、と思えばトトトトトンッと5回連続でタップすればいい。スクロールだとこうはいかない。トーン、トーン、トーン、、、って感じで、ページスクロールが完了してからじゃないと次にいけない。さらに、スクロールはページ全体が動くから、視認性もよくない。ページめくりは、ページの位置自体は固定されているから、めくった隙間からチラリとのぞくことで、かなり確認できる。40ページとか50ページくらいなら、あっという間にめくれる。

ということで、ページめくりアニメーションはただのアナクロニズムじゃなくて、理にかなったユーザインタフェースなんだよ、ってお話でした。もしどっかのデバイスでこの種の連続ページめくりができないのであれば、それはハードとソフトがプアなだけで、ユーザインタフェースの問題とは関係ないね。