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あるプログラマとMac OS Xとスティーブ・ジョブズ


ジョブズに思いを馳せていると、彼が自分にどう影響を与えたか、ということに返ってくる。という訳で、めずらしく個人的な話ですが、私のプログラマ遍歴を。

最初に触ったパソコンは、小学生のときのPC-8001でした。ベーマガを見ながら、N-BASICのゲームプログラムを打ち込むという、少年時代を過ごしておりました。その後、PC-8801、PC-8801mkIIFAと順調にステップアップしました。

そして大学生になったある日、がんばってお金を貯めたので新しいPCを買おう、最近よく聞くDOS/Vとかいうのにしてみるかね、というときに出会ったのがMacintosh Color Classicでした。衝撃でした。一目惚れでした。いままでMacのMの字も知らなかったのに、買っちゃいました。そこからApple三昧の日々が始まります。

ワープロ系、ペイント系、ドロー系、DTM系、と一通りのアプリケーションを触った後、むくむくとプログラミング熱が起こってきました。この辺はパソコン少年の名残でしょうか。昔はアプリは使うものではなくて、作るものだったんでね。Macのアプリを作りたい!

HyperCardはいまひとつ性にあいませんでした。おれはスタックじゃなくて、アプリを作りたいんだよ。そこで目をつけたのがCode Warrior。その硬派な名前とパッケージに痺れました。アカデミックプライスがあったのも、学生の身としては嬉しかった。購入して、インストールして、マニュアルに載ってたサンプルプログラムを1行ずつ打ち込みました。終わった!よし実行!すると、ウインドウが表示されました。やった!でも、ドラッグしても動かない!つーか、メニューが変。Appleメニューが2つ表示されている?!つーか、フリーズしてるよ、これ!

昔のMacプログラミングって、ウインドウのドラッグやリサイズも全部自分でコード書かないといけなかったんですよね。そもそも、イベントループも自分で回すし。優美にエレガントに動いているように見えるMac OSも、その裏ではすさまじいベタな努力が積み重なっているのを実感しました。リンゴの魔法が解けた日でした。その日から、私の興味は、一気にシステムの内側に向かっていきます。

始めのMacプログラミングは、うまく進みませんでした。Inside Macintoshやプログラミング本とくびっぴきになりながらコードを打っても、ぜんぜん思い通りに動いてくれない。分かんない、とにかく分かんない。暗中模索、五里霧中、そんな四字熟語がぴったりの状態でした。いまなら理由が分かります。情報系の知識が圧倒的に不足していた事もあるけど、システムがモダンではなかった。Mac OSは、モダンではなかったです。開発者にとんでもない労力を強いるものでした。今思うと、このときもがきまくった苦労は無駄ではなかったです。でも、生産性という視点で考えると、無駄そのものでした。さらにPower Plantとかも登場して、私の混迷はさらに深まります。

鬱々とした状態が続く中、飛び込んできたニュースはスティーブ・ジョブズの復帰とMac OS Xの登場でした。テン?また新しいもの覚えないといけないの?と疑心暗鬼でしたが、とにかく技術仕様書をダウンロードして読みました。衝撃でした。最初にMacと出会ったときから数えて二度目の衝撃でした。Project BuilderとInterface Builderの関係に痺れました。App KitのAPIの美しさにメロメロでした。このとき、ちょうど私は最初の会社に入社したときだったんですが、新人研修中に研修なんか無視して、Mac OS Xの仕様書を読みふけっていました。

それからは、Mac OS Xプログラミング、というかCocoaプログラミングの日々でした。とにかく楽しい。これがその当時の気持ちです。プログラミングの楽しさは、プログラミングそのものにあるのです。美しいフレームワークを触り、その背後にある設計者の思想を読み取り理解する。プログラミングを通して、ユーザと設計者と対話をするのです。

ここまで惚れ込むと、そのさらに後ろにあるジョブズの影も見えてきます。もちろん、ジョブズがCocoaを作った訳ではないです。でも、App KitとFoundationの開発にゴーサインを出し、その価値を認め採用を決定したのは、まぎれもなくジョブズでしょう。ジョブズがCocoaなどのソフトウェア技術にどこまで知見があったのかは私は知りませんが、その本質を見抜く、技術に対する勘があったのだと信じたい。Cocoaには、iMacやiPhoneやiPadと同じ、Apple的美しさがあります。

だから言いたいのです。ジョブズ、ありがとう。他のたくさんのプロダクトともに、Mac OS XとCocoaを作ってくれてありがとう。私はこれを使って、ソフトウェアを作り続けます。

最後に余計な一言。あのとき、Beにならなくて本当によかった。

MOSA Software Meeting 2011参加受付開始


Mac時代から一貫してAppleプラットフォームでプログラミングする開発者を支え続けているMOSAが開催する年一回の開発者の祭典、MOSA Software Meeting 2011の参加者募集が始まっていた。

今年もまた、私は講師として参加させていただきます。お題は「iCloudの理論と実装」。iOS 5の目玉の新機能なんで、抑えておきたいよね。

参加申し込みは、MOSAのWebページの方からできますので、興味のある方は大橋会館でお会いしましょう。

HMDTにて新人プログラマ募集


求人のお知らせです。HMDTでは、いまプログラマを募集しています。iOSまたはMac OS X向けアプリ開発が仕事になります。

今回は求人広告も作ってみました。Find Jobさんのこちらに載っております。細かい条件などは、そちらで確認してみて下さい。

過去にも何度かプログラマ募集のお知らせをやったけど、今回は以前のものとはちょっと違います。それは、未経験者も対象にしていること。iOSアプリ開発の経験がなくとも、何らかのプログラミングの経験があればオッケーです。新卒や第二新卒の方もオッケーです。

いままでHMDTで働く人は、Mac OS XでCocoaプログラミングをやっていた人でした。即戦力で働いてくれて、Appleの話もMacの話も通じるので、それはもちろんやりやすかった。でも今回は、新しい風を入れてみたい、と思っております。昔のMacの話は知らなくとも大丈夫。いまのiPhoneを触って、これからのアプリを作ってみたい人と仕事をしてみたいと感じています。

経験がなくとも、とにかく教え込みます。テキストは、まぁ、いままで書いた本がたくさんあるし。

ということで、興味のある方、特に若くてやる気のある方、Find Jobさんのサイトの方を見て応募して下さい。お待ちしてます。

デジタル大辞泉と龍馬の手紙がシニア向けAppに


秋の連休、いかがお過ごしでしょうか。東京は、秋とは思えない暑さ続いとりますが。

明日は敬老の日、ってことで、AppleがApp Storeで「シニア向けApp」のプロモーションをやっとります。その中の「一緒に学ぼう」のカテゴリで、HMDTで開発しました「デジタル大辞泉」と「直筆 坂本龍馬の手紙」が選ばれました。

 

 

うちのアプリは、シニアにもいけるぜ!で、「シニア向け」って言われるには、機能やコンテンツもそうだけれど、ユーザインタフェースの面でも配慮が必要だって考えている。

3年くらい前に大辞泉の最初のバージョンを作ったとき、始めは表示する字が全体的に小さめだったんですよ。そのとき、少しお年を召されたから、読めない、読めない、と散々言われたことがある。

読める人にとっては小さい字でも大きい字でも問題ないけど、読めない人にとっては小さい字であることは致命的だということに気づいた。それで、デフォルトの文字を大きくしたり、文字サイズを変更できる機能を追加したりした。

それ以来、「全ての人にとって致命的ではない」ということを念頭に機能を考えるようになった。字が小さいと、読めない人がいるかもしれない。似た色調の色使いだと、判別できない人がいるかもしれない。複数の指を使う複雑なタッチ操作だと、対応できない人がいるかもしれない。そんなときは代替表示や操作を用意して、とにかく「できる」ようにする。つーか、そもそもそんな問題は発生しないようにする。

「ユニバーサルデザイン」って言葉を使うと大上段に構えているような気がするので、全ての人に対して致命的ではありませんように、ってつぶやきながらユーザインタフェースを考えとります。

MoneyTron 20,000本達成


webtronさんが配信しているiPhoneアプリMoneyTronが、販売本数20,000本を達成した模様。

有名どころが配信しているアプリでなくとも、いいものを作って、根気強くプロモーションしてれば、ちゃんと売れる。App Storeの売り上げは、小規模なチームなら充分潤うよ、と、いうことが証明できたんじゃないかな。

『列車図鑑 九州新幹線 新800系』発売


株式会社アリギリスさんより、iPad/iPhoneアプリ『列車図鑑 九州新幹線 新800系』が発売となっております。開発は、HMDTっす。

このアプリは、九州新幹線新800系をなめるように眺めることのできるもの。鉄道写真を撮らせたら並ぶものなしの、マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズさんの撮り下し写真を収録。特殊技術で作った超ロングスーパーパノラマ写真で、全車両をつなげて見れちゃう。解説文やコラムはきしゃ旅フォトライターの松尾定行氏によるもの。写真をタッチすることで、新800系に隠された秘密をのぞけちゃうという、iPadならではギミックも搭載。

HMDT Webページの方でも紹介ページを作ったので、こちらも参考にしてね。

ということで、鉄道好きの方にはたまらない一品となっております。定価600円のところ、2011年9月30日までは発売記念セールで350円に。興味のある方は、ぜひご確認を。

HMDTではこんな感じの電子書籍も作っております。ePubやPDFだけが電子書籍ではない。書籍とアプリを合わせたような、新しいメディアを作りたい、って考えています。興味のあるコンテンツホルダーの方、一緒に何かやりませんか。

MoneyTronのDeveloper’s Voiceを公開


HMDTで開発したアプリの、開発者の生の声を届けるコーナー、Developer’s Voice。今日は、MoneyTronのDeveloper’s Voiceを公開。

MoneyTronは、お小遣い帳アプリ。iPhoneアプリらしい、奇麗でクールで特徴的なユーザインタフェースが目をひく。結構人気があって、売れているんですよ、これ。

Developer’s Voiceでは、MoneyTronの企画/デザインを行った、webtronの大宮さんをご招待。MoneyTronを皮切りに、デザイン論を熱く語っております。

uListeningのDeveloper’s Voiceを公開


HMDTで開発した製品の秘話を語る「Developer’s Voice」。今回新たに、「uListening」のDeveloper’s Voiceを公開。

uListeningは、英会話教材の第一人者アルクさんと一緒にやらせてもらっているアプリ。リスニング機能をメインに、iPhoneでの英会話学習をサポートするよ。

Developer’s Voiceでは、担当開発者がこだわりの機能の数々を語っております。ぜひ、ご一読を。

iOS 5 beta 7登場


iOS 5 beta 7登場。着々とバージョンアップを積み重ねているねぇ。GM到達も近いかな。

ここ数年のAppleの新OSリリースに関するスケジュールの遵守ぶりは素晴らしい。はっきりいって、本当に素晴らしいと思う。入れる、といった新機能がちゃんと入って、この辺りに出す、といった日付にちゃんと出しているから。

なんでだろうなと考えると、まず思いつくのはOSが成熟していること。OS XおよびiOSは同じカーネルを基盤として、その上に積み重ね続けている。すぐに新OSをホイホイ作りたがるどっかのマイクロソフトとは違う。ずっと使っていれば、成熟してバグも出にくくなる。

あと、これが重要だと思うんだけど、Appleは出来ないことを言わなくなった。出来たことだけを言うようになった。つまり、未来に対するホラを吹かない。その代わり、出来上がったものの発表を効果的にする。

Appleって、ビジョナリーの会社だと思われがちだけど、実はあんまり未来を語らない。メディアを使って、こんな素敵な近未来が来るよ、って喧伝することをしない。もちろん、考えていないわけではなくて、それを外にはなかなか見せない。みんなが知るのは、そのビジョンを実現した製品を発表するときだ。だから、吹いてしまったホラを実現するために四苦八苦することがない。出さなければいいだけのことだからね。

OSの新機能追加についても、ベータリリースという名目で世に出したときは、既にその実装は完了している、または目処がついている。あとは製品レベルまで仕上げるのと、開発者に使ってもらうための時間を確保するだけだ。だから大きな遅れがなくなったんだと思う。

この辺がやっぱりジョブズの考え方なんだろうなぁ。

「iMandalArt – Developer’s Voice」を公開


HMDT Webページにて、「iMandalArt – Developer’s Voice」を公開しました。

HMDTのWebページは先週リニューアルして、うちで開発したプロダクトの紹介をするページを設けた。でも、ただ紹介するだけじゃつまんないよね、ということで、開発者による座談会を企画。どういったことを考えながらこのプロダクトを開発したのか?という生の声を届けたいと思ってます。

iMandalArtのDeveloper’s Voiceでは、マンダラート初期のHyperCard版やNewton版の画像なども公開。また、アプリの仕様やユーザインタフェースを、どうやって決めていくかというプロセスについても語ってるよ。iMandalArtに興味のある方だけでなく、アプリ開発のプロセスに関心のある方もぜひ。